夜のサンルイ島

夜のサンルイ島

日曜日に、ヨラムオーケストラをアラブ世界研究所へ聴きに行ったことは、記事に書いた。

 

寒い日だった。火曜日辺りから、風邪。体調不良。水曜日にややダウン。滅多にないのだけれど、一週間前ぐらいから、朝1℃、日中4℃から7℃の間と、一挙に10℃ぐらい気温が下がったから、やはり、老体に響いた。いくつかのアポイントを、珍しくキャンセルさせてもらった。

 

風邪薬を飲んで、やや痛い胃を抱えながら、それでも、ピアノに這って行き練習した。

しかも、胃が痛いのに、赤ワインを飲みながら。さすがに、いつものペースでは飲めなかった。

なんか、頭が朦朧としているせいなのか、ピアノの奏法がいつもより透明な感じ。邪念がない分、すっきりした演奏をした。こういうこともある。練習後、ぼーとパソコンを付けて、ブロガー画面を開いたら、詩神様がどばぁーーーと走ってきて、あっという間に、詩のようなものをお書きになられて去った。翌日、読み返したら、駄目だ、涙腺が緩んでくる。アップする? 躊躇する。で、下書き保存として、これを書いている。

 

アラブ世界研究所は、ポンマリーという地下鉄の駅を出ると、サンルイ島を渡った対岸にある。

この方向で歩いていくと、右側にライトアップされたノートルダム大聖堂の後姿が見える。久しぶりである。世界一高い大聖堂をしばしば訪れる私から見ると、意外に小さい感じがする。

 

と、その前に地下鉄からセーヌを渡った左側に、サンルイシアターがある。パリで最も古いシアターのひとつ。丁度二年前の今頃、マリーカズエさんの「東京バーバラ」というシャンソン公演のピアノ弾きとして、十回の定期公演をさせて頂いた所。こちらも久しぶりに横を通る。

 

二年前、まだ、私は営業課長の激務に追われていたから、毎週末の定期公演、体の方はへろへろだった。一週間、フランス全土を車、TGV、飛行機で移動しまくった後の週末にピアノ弾いてんだから、まあ、当然。でも、本当に、別のジャンルとのクロスオーバーは、いい勉強になりました。ピアノ力は、確実にアップした。

 

ヨラムオーケストラを聴き終わり、今度は、ポンマリー駅まで、寒いよぉー、寒いよぉーと言いながら来た時とは逆方向。また、サンルイ島の夜景を見る。急におのぼりさん目線で、やっぱ、パリって綺麗じゃんなどと思っていた。夜景の中で深緑色に光るセーヌの水面を見ていたら、少しずつ、水面がせり上がって来ていることに気が付いた。川岸の通りが浸水し始めていた。私は、とても怖くなった。